※こちらの会話バトンを元ネタに書いております。




[依頼:銀さんと新ちゃんでハグチューしてください]


「なんだこりゃ」
依頼書に目を通した銀時は、その内容の意味不明さに声を出す。
朝、新聞の間からパラりと落ちた封筒。
表書きには「依頼」の文字があり、中には一枚の便箋。
そこに書いてあった文字が今現在銀時の眉間に皺を作っている。
「どんな依頼内容なんですか?」
食事の片づけでテーブルを拭いていた新八はその手を止める。
部屋の中央に突っ立って眉間に皺を寄せたまま依頼書とにらめっこしている銀時の傍らからその手元を覗き込んだ。
書いてある文字を読む。
「銀さんと僕でハグチューしてください?ハグチューって何ですか?」
初めて聞く”ハグチュー”なる言葉に新八は首を捻る。
「銀さんと僕で何かしろってことですよね、ようするに」
”ハグチュー”が何かはわからないが、依頼の内容は至って単純だ。
「まあそうなんだろうけど、その”何か”をわかりやすく説明しとけってんだ。なんだよこの依頼は。ったくよ」
「あれ、この依頼主って、この間の対談の……」
「そうなんだよなー。あの女、ホント意味わかんねぇ」
「そうですか?ちょっと変わった人でしたけどいい人でしたよ?」
新八の頬が少し赤くなる。
「新八?」
手を掴み、もしかして惚れちゃったの?などと焦って見当違いな事を聞く銀時。
「何言ってんですかっ」
赤いままで怒っても銀時に対しては逆効果でしかないのに。
いつまでも学ばない新八は銀時の手をぱしりと払いのけた。
「そんなんじゃなくてっ」
くるりと銀時に背を向ける。
「その、あの人のおかげで銀さんの本音とか、ちょっと聞けたりして、う、嬉しかったっていうか・・・」
俯き加減でごにょごにょしていたら、背中から長い腕が伸びてきた。
「俺は、その倍嬉しかったけど?」
抱き締めてくる腕の力は強いけれど優しい。
右手が新八の左耳に触れ、首筋を辿って下へと滑る。
「……っ」
袷をくぐり鎖骨をすっとなぞられて新八は思わずその手を掴んでしまった。
掴まれた手はそのままにして今度は首筋に唇を落とされた。
痕を残さない程度の緩やかな吸い上げが新八の肌を粟立てる。
「だ……め、です……ってば……」
「何で?」
新八の拘束を意にも介さない銀時の手は更に奥へと入り込み、内側から着物を肌蹴させようと動く。
乾いた掌が肩を大きく撫で、そのまま布を落とそうとする。
「だっ……から、駄目ですってばっ」
それを阻止しようと新八は肌蹴そうになる着物の襟を慌てて掴んだ。
袷から突っ込まれている銀時の腕を抱きこむ形になってしまい必然、その手は着物の中に閉じ込められた。
「新ちゃん、何で駄目なのよ」
「なっ、んでって……そんなの考えたらわかるでしょーがっ」
今は朝で、さっき朝食を食べたばかりでしかもここは仕事場だ。
百歩譲ってそれはよし、としたとしても。
今は神楽が歯を磨きに洗面所に行っているだけで、決して二人きりではないのだ。
「新八が朝っぱらから可愛いのがいけねぇんだろ?ホントは尻とか触りてーのを我慢してるだけでも褒めて欲しいくらいなんだけど」
「そんなの知りませんっ」
抱え込まれているのをいいことに指先で胸を弄りだした銀時の手を、新八は身を捩って懐から抜いた。
「絶対駄目、ですっ」
身体を抱き締めていた銀時のもう片方の拘束は緩やかなものだったから身体はあっさりと逃れられた。
そのまま台所にでも逃げ込んでしまうのかと思われた新八の次の行動は意外なもので。
離れた身体をくるりと銀時に向き直すとそのままその身体にしがみ付いたのだ。
考えようによっては下手に離れて逃げるよりはこちらの方が防げるのかもしれない。
けれど新八はそんな事を考えていたわけではなくて。
「僕だって……銀さんとくっついてたいです」
ぎゅっとしがみ付く。
「でも……お願いですから、時と場所を考えてください……恥ずかしいです……」
小さな声で、懇願したら。
銀時が負けを認めた。
「やっぱお前には勝てねーよ。銀さん降参」
見上げたら両手を挙げた降参ポーズの銀時がいて。
ごめんな、と唇に触れられた。
「これからなるべく気を付けっから」
「なるべく、なんですか?」
「んー、できるだけ?」
「……何で”絶対”って言ってくれないんですか」
「やー、そらちょっと自信がねーっつーか……頼むから勘弁して」
そんなにも、自分に触れたいと思ってくれていることが、本当は嬉しいのだけれど。
甘い顔を見せたら終わりだとわかっているから心を鬼にする。
「じゃあ、これから一回やるごとに罰金取りますからね」
「マジですか」
「至って本気です」
抱きつく新八を抱き締めて、銀時は覆いかぶさるように項垂れた。
「何やってるアルカっ」
後ろからドスンと抱きつかれ。
「神楽ちゃん」
身を捩ればそこに神楽の顔があった。
「銀ちゃん落ち込んでるアルカ?どうせ何か悪さしたに決まってるネ。新八セクハラされたデショ」
「セクハラって……」
「洗面所まで丸聞こえ、ネ」
神楽の告白に新八は真っ赤になった。
「あんなぁ、セクシャルはあっても、ハラスメントはねーから」
「どっちも無しにしてくださいっ」
今日は朝っぱらから一体何なのか。
新八は抱きついていた腕を解いて赤くなっているだろう耳を両手で押さえた。
元はといえばあの変な依頼書がいけない。
結局依頼内容だってわからないままだし。
「もう、あの依頼、どうするんですかっ」
腕を突っ張って銀時の抱擁から逃れると床に落ちている依頼書を拾い上げた。
「あー、面倒臭せーけど、連絡先わかってるし、後で聞いとくわ」
本当に面倒くさい、というのを隠さない銀時。
それににっこりと笑って新八は乱れてしまった襟を整えた。
「じゃあ。今日はちゃんとした依頼が久々にもう一件入ってますし、行きましょうか」
「ん、行きますか」
「どんな賄が出るか楽しみアルネ」
「おめーは食いモンばっかだな」
「何言うネ、やる気の源アルヨ」
「ご飯が美味しいとやる気が出るよね」
「流石新八、わかってるアル」
「俺は新八がご褒美くれた方がやる気でっけどな」
「っ、またそんな事ばっか・・・」
「ご褒美が何、とは言ってねーけど?」
ニヤニヤ笑う銀時に新八は真っ赤になる。
「もーあんた最低ですっ」
「銀ちゃんの最低は今に始まった事じゃナイネ」
「いんだよ、普段駄目な方がいざという時のきらめきが増すから」
「姑息アル」
「……もう少し、まともでいてください」



玄関の戸ががらりと開いてぴしゃりと閉まる。
三人と一匹の、喧嘩ともじゃれあいともつかない会話はゆっくりと喧騒に紛れていった。



誰もいない居間のテーブルの上には一枚の便箋。
二人で首を傾げていた依頼内容を、実はもうこなしてしまった事を二人は知らない。
後日「依頼遂行・感無量」の手紙と共に振り込まれた依頼料に、又もや首を傾げる嵌めになったのは言うまでもなかった。



万事屋ハグチュー:完了

20070119UP


エロ田銀時(笑)
な、何でだろう……前回UPした「玉子焼き」で既成事実を作ってやった途端、あの男の箍が緩んでしまいましたよ、おかしいです。あの人どんどんただのセクハラ親父に・・・(汗)。箍を締めなおさないとっ。
つか、これが私の本性です(笑)。
もう3Zの坂田先生に頑張ってもらうしかないですね(笑)。

はい、お疲れ様でした。
皆さん、銀新ハグチューいいですよねv