注:えーとですね、今回いつもに増して妄想爆発なものを書いてしまいました。
自分でもどうしていいのかわかりません(汗)ので、無条件に私を愛してくださる方(笑)のみ目を通してください。
ほんとごめんなさい〜(先に謝っとく)
















庭を歩いていたら迷い込んだ。
まるで森みたいな緑のトンネル。
いつも遊んでいる、自宅の狭い庭のはずなのに。
それはどこまでも続いていて。
くぐってくぐって辿りついた大きな木の根元に銀色の人が眠っていた。
黒い服を着て、上から羽織った白い着物の袖を片方脱いでいる。
変な格好。
新八はそーっと寝顔を覗き込んだ。
両手を頭の後ろで組んでのんきに眠るその顔はとても平和で、ゆっくりと上下する胸の動きは優しかった。

じっと見ているうちに規則正しいリズムは新八を眠りの淵へと誘って。
だんだんと重くなる瞼を開けていることができなくて、小さな頭をコトリとその腹に預けると新八はそっと意識を手放した。






枕がごそごそと頭の下で動き出して、新八の意識は浮上する。
ぐいっと持ち上がって、頭がごろりと落ちそうになったところでぴたりと止まった。
はっと覚醒した新八は慌てて身体を起こす。
枕と、目が合った。
「お前、どっから来たの?」
新八の姿に枕は別段驚いた様子もなくのんきな質問をする。
「えっと、おうちのにわ」
「ふーん。何歳?」
「よっつ」
「一本多いぞ」
勢いよくパーで出した掌の、親指を笑いながらそっと曲げられた。
触れてきた大きな手は温かくて、新八はお日様に当たりながらするお昼寝みたいだと思った。
「お兄ちゃんはだれ?」
「んーとだな、まず人に聞く時は自分から、だ。わかるか?」
「じぶんから?ぼく?」
「そ。まず僕は誰ですよって教えてくれないとな」
「ぼくはしむらしんぱち。いい?」
「よし。俺は森の妖精だ」
「ようせい?」
「知ってっか?」
「うんっ。おねえちゃんの本でみた。ふわふわできらきらなの」
「ふわふわできらきらか」
「うん」
新八は自称森の妖精に手を伸ばす。
寝癖みたいにあちこち跳ねた銀色の髪が太陽の光に透けてきらきらしていた。
「かみの毛、ふわふわできらきらだね。ホントにようせいさんだ」
ふわふわの髪が楽しくて触っていたら両脇を持ち上げられひょいっと森の精の膝に乗せられてしまった。
「ようせいさんはここでおひるね?」
「そう。あんな、妖精さんには名前があんだよ。特別に教えてやるよ」
「とくべつってなに?」
「新八にだけって事」
「ほかの人は言っちゃだめ?」
「だめ」
「いったらしんじゃう?」
「や、死なねーけど……」
「いわないから。ぼくないしょだからしんじゃだめっ」
「……ありがとな。俺の名前はな銀時っての」
「ぎんとき」
「そ、銀さんって呼んどけ」
「ぎんさん、ぎんさん」
初めて貰った「特別」は新八には難しくて本当は良くわからなかったけれど。
教えてもらった銀時の名前は光に透ける髪の毛みたいにきらきらで、新八は嬉しくて何度も繰り返した。
それから銀時の膝の上でたくさんの話をしてもらった。
森に生る木の実の話や虫や動物の事。
初めて聞く知らない話に新八はわくわくしっぱなしだった。
時間の経つのも忘れていたのに。
お腹がぐぅと鳴って新八ははっとした。
「おうち、かえらないとおこられる」
銀時の膝の上は優しくて、離れたくはなかったのだけれど。
しょんぼりとする新八の手に銀時は何かをそっと握らせた。
開いてみると小さな掌には立派な帽子付きのどんぐりが一個。
「俺に会いたかったら、これをぎゅってして銀さんって呼んでみな。すぐに会いに来てやっから」
「ほんとに?」
「ほんとに」
「でもないしょだからおねえちゃんいたらだめでしょ?」
「誰もいなくて新八が寂しかったら呼べばいい」
「ぎんさんはひとり?さみしいとぼくよんでくれる?」
「んー、銀さんは呼べねぇな」
「なんで?ぼくきらい?」
会いに来てくれるといった銀時の言葉に新八の気持ちは幸せで一杯になったのに。
「はは、嫌いじゃねーよ。そだなー。銀さんは昔一杯悪いことしたからこっから動けねぇの」
「うごけなかったらよんでもこれないよ?」
「うん、だから、このどんぐり一個分だけ、願いがかなうんだよ」
「いっこなくなったらもうこれない?」
「悪い銀さんはどんぐり一個しかもらえなかったの」
「じゃあぼくいらない。かえす」
「なんで?やるよ」
「やだ。ぎんさんのだいじ、もってて。ぼくずっとここにいる。よばなくてもいいようにいるから」
「姉ちゃんに怒られんだろ?」
「だってぎんさんさみしいでしょ?」
「……そだな。思い出しちまったかもな」
「?」
銀時の大きな掌が新八の小さな頭をかき混ぜて、癖のない黒髪にため息ともつかない吐息がかかった。
「新八が帰らないと姉ちゃんも寂しいんじゃねーの?」
銀時の言葉をうけて脳裏に姉の顔が浮かぶ。
二つ年上の新八の姉。
妙はたった一人の姉弟だ。
母親は物心がつく前に病に倒れいなくなった。
父も今では臥しがちで、僅かばかりの蓄えを切り崩しながら生活している。
頼れる身内はなく、見かねた近所の人たちが何かと世話をしてはくれるけれど。
所詮は他人、限界はある。
幼い姉弟は、幼いながらにもできる限りの事を頑張ろうと力を合わせてきたのだ。
大人が思っている以上に子供はちゃんとわかっている。
その姉が寂しがると銀時に言われて新八の目には涙が溢れる。
「だって」
銀時は、今日初めて見たのに全然怖くなくて。
何にも知らないのに、ずっと一緒に居たいと思うくらいに大好きになったのだ。
でも、新八にとっては姉だって大切だ。
二つを選べない事で幼い新八の頭の中はぐちゃぐちゃになってしまう。
べそをかきながら銀時の方を振り返る。
「おねぇちゃんもすきだけど、ぎんさんもすきだもん。いっしょがいいもん」
「銀さん、悪いことした人だよ?」
「しらないもん。ふわふわのきらきらであったかいもん」
泣きながら小さな身体で精一杯銀時の首筋にしがみ付く。
柔らかく、跳ねた銀髪が顔に当たる。
そこからは眠るときに当たっていたお日様の匂いがした。

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