打ち上げ花火






暗い夜空に大輪の、火花が散って消えていく。
星を隠した闇の中。
轟き渡った打ち上げ音が余韻のように鼓膜に残った。
流れ落ちるような光の軌跡。
吸い込まれるように姿を消したきらめきを、新八は瞼の裏にそっと留めた。
ぱっと咲いてぱっと散る。
そんな風にある日突然消えてしまいそうな男の袖をそっと掴んで。
新八は静かに来年の今日を想ってみた。

屋根の上を吹き抜ける風が、遠いはずの河原の匂いを運んでくる。
夏の夜空に上がる火は、消えた命の送り火なのだと。
聞いた記憶は夢だったろうか。




一時間に何万発単位とか。
矢継ぎ早に打ち上げられる現在の花火と違って、江戸時代は一発ごとをゆっくりと、三ヶ月もの期間をかけて打ち上げられるのだという文献を読んでの妄想です。
ちょっと暗めですけど、そう見せかけてラブラブですから!って感じで受け止めてください(笑)
※当時の日記より抜粋

夏の行事は鎮魂のイメージが強いですね。
2015 6月補足 もんぺ