091020






「いつもありがとな」
柄にもなくそんな事を口にして抱き締めたら案の定、どうかしたんですか?なんて失礼な返しがきた。
でもその口調は満更でもなくて、身体は素直に腕に納まる。
「うるさいねお前は、俺だってたまにはそういう気分になんだから素直に受けときゃいいんだよ」
照れ隠しも手伝って些かぶっきらぼうな口調で答えると新八は堪えるように肩を揺らしてそっと笑った。
笑うこたねぇだろ新八君。
そりゃ俺だって柄にもねぇしこっぱずかしいと思ってっけどよ。
おっさんの純情を笑うのはちょっと酷くね、それは無くね?
居たたまれなくて離れようとしたら新八の腕が身体に回って引き止められる。
やだな銀さん、拗ねないでくださいよ。とか子供扱い。
それでも嫌な気はしない自分が怖い。
オマケに逆に抱きつかれて、僕が悪かったですからもう少しこうしててくださいなんて言われたら、離すに離せない。
てかもっと隙間のないくらいに密着したくなる。
銀さん、ありがとうございます、嬉しいですって胸元で。
「……うん」
労う気持ちで抱き締めたのにもう逆転。
俺の方が新八に癒されちまった。
いつも通り。
「……役立たずでごめんなさい」
つい謝ったら。
何言ってんですか、銀さんは曲がりなりにも万事屋の社長ですよ、何だかんだ言ったって銀さんがいなきゃ始まらないんだから役立たずなわけないじゃないですか。だって。
普段はボロクソ言うくせに、一生懸命フォローしようとしてくれる。
ヤバイヤバイヤバイ。
あーもうホント、こいつが可愛くて堪んねぇ。
新八君、ホントにいつもありがとな。
「ああああああっっっっっ」
って何事!?
「銀ちゃんずるい!私もするアルッ」
帰ってきた神楽が新八の背中に飛びついて、俺達は一塊になる。
「うわっ、おかえり、神楽ちゃん」
「ただいまアル、新八こっち向くネ!」
「ええ?!」
「ちょいと神楽ちゃん、何言ってんのお前」
「うっさい天パ。どうせ銀ちゃん私が帰ってくるまでずっとベタベタしてたに決まってるネ、今から私に譲るアル」
「ずるいってなんですかぁ、新八は俺のなんだからそんな文句言われる筋合いはありませんー」
「うっさいアル、この糖尿マダオ」
「言葉の暴力はんたーい」
「黙るアル」