ドキドキする


銀さんはいつも唐突だ。
起動ポイントが分からない。
銀さんの傍を通ると急に手が伸びてきて。
腕の中だったり膝の上だったり、気がつくと僕は取り込まれてる。
いつもいつもそうだから、唐突なのはやめてくださいって何度も言ってるのに治る気配は一向にない。
この間も前を通ったら膝の上に乗せられたし。
そりゃ僕だって嫌なわけじゃないけど……恥ずかしいのが先に立って、なかなか素直にはなれない。
効果はないんだけど、照れ隠しもあってその時はついつい怒っちゃった。
なのに僕に非がある、みたいな目で見てくるし。
何度も言ってるのに聞いてくれない銀さんが悪いんじゃん。
何かずるい。
面と向かったらすぐ明後日の方向向いちゃうくせに、僕が後ろ向いたら視線で触れてくる。
今だって、項に視線が当たってる。
見なくたってちゃんと分かる。
だって、銀さんの視線には感触がある。
道具を仕舞ったらきっと。
視線じゃなくて、銀さんの手が触れてくる。
どうしよう。
繕い物はあと少し。
どうしよう。

凄く。
ドキドキする。