090819
夏は溶ける。
チョコもアイスも飴玉も。
俺の頭も新八も。
背中から緩く抱き締めた身体。
真夏の俺の部屋で、密着した肌を冷ますのは”強”で回してる扇風機一台だけ。
「新八、そろそろいけそう?」
ツイと流れ落ちる首筋の汗を出した舌先で舐めあげて俺は聞く。
「先生邪魔しないで……あっ、ああぁっ、死んじゃうっ」
新八の身体が勢い余って軽く跳ねて、それからゆっくりと力が抜ける。
「先生……死んじゃいました」
恨めしそうに俺を振り向く新八の、暑さの所為で軽く紅潮した頬が膨らむ。
「俺の所為とかいう?」
「変な事するから手元が狂いました」
山折の膝の上に乗っかったゲーム機の画面では「GAME
OVER」の文字が寂しげな音楽をバックに揺れていた。
「タイミング違ったじゃん」
「……もう一度お手本見せてください」
こういう時の引き際の素直さとかホント……ね。
「貸してみ」
後から回した手でゲーム機を持って新八と一緒に画面を見る。
スタートボタンを押すと音楽が流れ出した。
赤い帽子を被った配管工を動かして亀やら鳥やらを蹴散らしてゴールを目指す。
「僕そこのアイテムいつも取れないんです」
出した後一定の時間で消えちまうアイテムをサクッと拾うと新八から感嘆の声。
「新八はやることが丁寧だから時間かかんだよ、こういうのは勢いとタイミングでダダッといっちまえばいいんだって」
「それができたら苦労はしませんよ」
「ははは、ほい、ゴールっと」
「先生って本当に器用ですよね……」
「そっかね」
新八に関してはてんで不器用だよ、俺は。
俺の手からゲーム機を引き取った新八がスタートを押す。
「まだやんの?」
「一回くらいクリアしたいです」
「先生そろそろABボタン飽きちゃったんだけど」
シャツの裾から手を入れて指先で別の突起を弄ると汗に濡れた肌がつるりと滑る。
やっぱ断然こっちだわ。
「や、だ先生……まだ」
「だってもう汗だくじゃん、いい加減汗以外のもんに新八を塗れさせたいです」
「でも、もう少しだけ……」
訴えるような涙目に、俺が勝てるはずもないわけで。
「じゃあ……ほら」
指先で突起を摘む。
「んっ」
「これしたらジャンプのタイミングな。できるようになるまで覚えさせてやっから頑張れ」
「こ、んなの集中できないです……」
「けど先生のモチベーションは上がります」
服の中で篭った熱が肌と手の平の合わせ目をしっとりと濡らす。
「俺は両方に楽しみ見出しちゃったからどっちでもいいわ」
米神、耳たぶ、首筋と唇で触れる。
「どっちでもいいって言ったくせに、先生ずる、い……」
ジーンズの前を開こうとする俺の手首を新八が掴む。
「攻略は勢いとタイミング、だよ」
「意地悪……」
「意地悪じゃねぇよ、メロメロなんだって」
臍から逆に指先で辿る。
困ったように眉を寄せて、新八の手がパタリとゲーム機を閉じた。
「あと、でちゃんと」
優しい腕が首に絡んで。
「教えてください、ね」
柔らかな舌が顎先に触れる。
「りょーかい」
顎をずらして捕まえたそれをゆっくりと絡めて味わった。
耳元では閉じただけのゲーム機が篭ったオープニングを繰り返す。
カーテンだけで遮った窓からは、風と一緒に蝉の声。
それに紛れる新八の、堪えるような微かな喘ぎ。
ああ暑い。
こうも暑くちゃ全部が溶ける。
アイスもチョコも飴玉も。
俺の頭も新八も。
でもそんな夏も嫌いじゃない俺が今ここに誕生しましたっていう、まあそういうお話だったというわけで。
あとで風呂はいってさっぱりしたら、今度はクーラーつけてイチャイチャする予定です。
暑い夏、皆さん健やかにお過ごしくださいませ、ってな。
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