泣き出しそうな








窓の外に景色が広がる。
目の前にあるその場所を眺めているように見えるのに、銀時の瞳は時々遠くを見詰める。
そこは新八の知らない、どこか遠い場所で。
そういう時の銀時はどこかぼんやりとしていて、声をかける事が躊躇われる。
新八は畳に胡坐をかいた銀時の隣に黙って座り、ぴたりと寄り添うように膝を抱えた。
今の銀時の視線の先に目を凝らしてみても同じものを見る事は叶わない。
ほんの僅か胸を刺した切なさを呑み込んで、傍にある腕に頭をもたせかけた。
身じろぐ気配がして。
「どした?」
声が降る。
顔を上げれば銀時の視線。
眠そうな赤茶の瞳に自分が映っているのを見ると瞼の裏が熱くなる。
「いい天気ですね」
誤魔化すように瞼を閉じて着流しの袖に頬で触れた。
他愛もない言葉を返せばふっと笑う息遣い。
「そうだな」
銀時の指が髪に触れる。
柔らかく滑っていく動きはとても優しい。
銀時がここに居ること。
触れられること。
触れてもらえること。
それが自分にとってどんなに嬉しい事なのか、この人は知っているだろうか。
「銀さん」
「ん?」
顔を上げて銀時を見詰める。
瞳に自分が映っている事をもう一度確かめて。
「僕たちを選んでくれてありがとうございます」
告げた言葉に少し驚いて、困ったように銀時が笑った。
「なんだよ、急に」
「言いたかったんです」
「変な子だね」
新八の髪をくしゃくしゃにして、そっと唇を寄せてくれる。
その感触が嬉しくて、新八は唇をきゅっと噛み締めた。



坂田がぼんやり遠くを見ていて、新八達に気付いてふっと意識を戻す瞬間が好きだなぁと思ったので。
泣き出しそうな倖せ、というイメージ。