独白:新八
もしもし銀さん、聞こえますか?
僕の声は届きますか?
昨日の仕事帰りに川原で少し休みましたよね。
その時風に吹かれて佇むあんたを見て、不意に自分の気持ちに気付いたんです。
あんたが僕を見てくれたらいいのにって、そう思ってる自分を知ったんです。
あんたは男で、僕も男で。
寺子屋では教えてくれなかったけれど、こんな気持ちを向けるべき対象ではない事はちゃんと知ってます。
僕自身、他人事だったらきっと理解できなかったんじゃないかなって思います。
でもこういうことって、当事者になってみないとわからないものですね。
気付いたあの時から不思議なくらい、あんたへと向かってしまう自分の気持ちが止められないんです。
それが日毎に心に募って……僕、そのうち壊れちゃいそうですよ。
どうしたらいいのかわからない。
わかってるのは、あんたに伝えちゃ駄目だって事だけ。
あんたに好きな人ができたらいいのかな。
あんたに良く似た、可愛い子供が産まれたらいいのかな。
死んでしまった人を想う様に、あんたの事を胸にしまって綺麗な想い出にできたらいいのかな。
どうしたら深く沈み込んだこの場所から抜け出せるのかわからないんです。
あんたはヒーローだけど、僕はヒロインじゃない。
僕を救えるたった一人だけど、きっとそれは夢の中でだけ。
だから結局もがくしかない。
神様はどうしてこんな気持ちを作ったんでしょうね。
間違ってると諭されるなら、最初から生まれないようにしてくれたらいいのに……なんて、責任転嫁もいいところかな。
もしもし銀さん、聞こえますか?
僕の声は届きますか?
届いてしまったらどうしようと思いながら、僕の気持ちは今日もあんたへと向かいます。
どうしようもないですね。
けどそろそろ限界みたいです。
あんたには怒られそうだけど、僕にできる最良の解決策はこれかなって思うから。
もう少ししたら、万事屋を辞めようと思います。
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