銀時は風呂上りのため着流しこそ脱いでいるものの、いまだ着衣のままで。
新八は羽織った着物に袖だけ通した状態で前は完全に肌蹴ていた。
もう殆ど脱いでいるのと変わらない。だから脱いでしまいたかったけれど銀時が許してくれなかった。
「どうして脱いだら駄目なんですか?」
聞いてみたけれど。
「新八普段きちっとしてっからさ。こういう風にだらしなく肌蹴てたりすっと、すげーエロいんだよ。単純におっさんの趣味です」
お前に関しては俺マニアだから、とかなんとか訳のわからない事を言われてしまった。
布団の上に寝かされ新八だけが肌を晒した状態で、開かされた足の間に着衣の銀時の身体がある。
内股に当たる布越しの薄い熱が新八の鼓動を落ち着かなくさせる。
まるでそれを慰めてくれるみたいに銀時が胸に触れた。
胸元に埋まる髪に手を差し込むと跳ねる銀髪が新八の指に優しく絡まる。
唇と指先でゆっくりと胸を弄られ新八の身体は熱を帯びていく。
触れているのが銀時だと思うだけで新八の身体は形を変える。
硬く尖った先端を銀時の歯に噛まれる度にそこから甘い痛みが走る。
「あっ」
強く吸い上げられて肩に力が入る。
反射的に指先を無意識に握り締めてしまった。
「テッ」
銀時が声をあげる。
それを聞いて新八は指先に銀色を絡めている事を思い出した。
「ご、ごめんなさいっ」
慌てて手を離したら銀時の顔が上がって身体がずり上がってきた。
布が胸を掠めるのにまた肩が揺れてしまう。
「気にすんなー、新八」
手首を取られそのまま唇で辿られた。
「感じちゃったって事だろ?」
掌に吐息があたる。
「新八感じやすいよな」
舌が、這う。
肌に銀時を感じる度に自分の息が震えるのを感じる。
新八はそっと首を振った。
違う。
感じやすいわけではない。
どちらかといえば、多分自分は鈍い方なのだと思う。
ただ、触れるのが銀時だから意識してしまうだけだった。
歯があたればその硬さに肌が粟立つし、肌や舌が触れればその温度に溶けだしそうになってしまう。
銀時が触れているその場所から、いつも熱は生まれていく。
他の誰に触れられても、きっとこんな風には感じない。
勿論経験があるわけではないけれど、銀時以外に触れられたいと思わないのだから、多分そういうことなのだ。
そんな心を知ってか知らずか、銀時はにやりと笑って新八の唇を舐める。
「禿げない程度によろしくな」
「う……はい……」
腕を首に導かれた。
額に口付け。
「あの……」
「ん?」
目元、鼻先、頬と顎。
順番に唇が辿っていくのを感じながら新八は口を開く。
触れた唇に押し上げられて顎を反らされる。
銀時はそのまま新八の首筋を下へと辿っていった。
時々唇が留まって、そこを強く吸われる。
息を呑んだら喉仏を舐められた。
「どした?」
顔を上げて目を見てくれる。
「服……脱がないんですか?」
こんなにも間近で触れ合っているのに、新八の身体に触れるのは布ばかり。
風呂場では洗われるばかりで、肌が触れ合うことはなかったのだ。
「新八のえっち」
「なっ……」
「いやいやいや、新ちゃん余裕じゃね?」
「よ、余裕なんか……ないです」
余裕なんて、あるわけがなかった。
でも銀時が自分だけを見てくれているのが嬉しくて。
ドキドキと安心が混在する不思議な気持ちなのは確かだった。
ずっと緩やかに触れられるばかりで。
煽られるような情欲の火はまだ灯らない。
今はまだ薄い皮膜がかかった様な心地よい快感に全身を包まれている。
だから少しだけ冷静でいられるのだ……多分。
銀時が身体を起こすと、あまり力を入れていなかった腕からするりと首が抜ける。
空いた手を取られ、引き起こされた。
向かい合わせに座った形。
銀時の掌が腿を這い、腰に回ってぐいっと引き寄せられた。
新八を乗せた下で胡坐が組まれる。
肩口に唇が落ちて、腕は背中に回されて。
二人の隙間がなくなった。
背中から回された手が肩を丸く撫で、流れるように二の腕を滑って肘に留まる着物に触れた。
「腕、抜け」
素直に袖から腕を抜くと着物はぱさりと下に落ちた。
「俺のは新八な」
耳元で囁かれた。
緊張に唾液を呑み込んで、新八は思い切って銀時の服の裾に手を伸ばす。
いつも見慣れた黒いシャツをそっと上げていくと肌が少しずつ見えてくる。
甘いものばかり食べてるくせに。
だらだらと、ジャンプばかり読んでいるくせに。
銀時の身体は悔しいくらいに綺麗に締まっている。
着痩せする性質だから普段それを感じさせない分ドキドキが増す気がした。
「腕、上げてください」
「ほい……って、ぶっ」
恥ずかしいとか悔しいとか、ちょっとしたいろんな感情が寄り集まって複雑に絡まって。
誤魔化したくて捲り上げた服を思い切り引き抜いた。
布が裏返しになって銀時から離れる。
「ちょ、新八乱暴じゃね?」
銀時が片手をくしゃくしゃになった髪に差し入れる。
「……知りません」
少しだけ脹れて顔をそらしたら。
「……新ちゃん、お仕置きされてぇの、ん?」
特有の、性質の悪い笑み.。
背中がぞくりとした。
銀時の一番長い指が首から滑って胸の間をゆっくりと落ちていく。
「や、やだ……あ……」
臍の窪みを擽られ、控えめな下生えの中から自身を掬い上げられた。
握り込まれ、欲望を剥き出しにされる。
「っ……」
「濡れてんな」
親指の腹に先端をヌルヌルと撫で回された。
「ふ……ぁ……や、やだ……ひぁっ」
敏感な割れ目を掠められる度に反射的に身体が跳ねてしまうのを止められない。
「ぎ、銀さ……っ、やめ、て……」
縋りたくて銀時の腕を掴むけれど、上手く力が入らない。
恥ずかしくて、足を閉じてしまいたいのに太ももは銀時の身体を挟むばかりで何の意味もない。
顔が上げられなくて、新八は銀時の肩口に額を寄せた。
「顔、見せてくんねーの?」
後頭部に銀時の声が降ってきて、新八はイヤイヤをするように寄せた額をこすりつけた。
俯いた先に何が見えるのかわかっていたから目はぎゅっと閉じていた。
「新八、変なとこ頑固だからなー」
のんびりと呟いた銀時が手の動きを変えた。
先端から溢れる新八の体液を塗りつけてゆっくりと上下に行き来する。
耳には銀時の手が動くのに合わせるようにクチュクチュという濡れた音が入ってきて。
その音を聞くたびに怖いくらいの快感が身体を突き抜けた。
「は……やだ、ぎっ……あっ、やっ」
身体中の神経がそこに集中してしまったようで。
呼吸が荒くなっていく。
身体が追い上げられるほどに、恥ずかしい気持ちは増して。
「新八」
「あ……」
不意に手を止められて身体が震える。
「顔見られんの、嫌か?」
静かな声で問われて新八はゆっくりと顔を上げる。
その先で、銀時の瞳がじっと見ていた。
色味の少ない銀時の中で唯一鮮やかな色彩を放つ赤味の強い綺麗な茶色。
新八の、好きな色。
感情が高ぶると一層赤味を増すそれは今、触れたら熱を感じるんじゃないかと思うほどに赤く見える。
新八はユルユルと首を振った。
見られるのが嫌だとも、問いに対する否定とも取れる曖昧なそれを銀時は追求せず、ただ黙って緩やかな口付けをしてくれた。
そっと身体を倒されて。
再び自身を握りこまれた。
「新八の、恥ずかしいのも、気持ちいいのも、全部俺のもん。だからイク顔も俺のもん、な」
ヌルリと手が動き出して。
唇を塞がれた。
「ふ……ぅ……ぅ……ん」
重なる唇からも銀時の手からも濡れた水音が絶え間なく漏れてきて。
新八を耳から犯していく。
口角から流れる唾液が耳へと流れる感触さえも快感に変わって。
ピチャリと音を立てて唇が離れて、少しずつ銀時の手が早くなる。
「んっ……あっ、やっ……ぎっ……さ、んっ」
息が乱れて頭の芯が痺れ出す。
縋るものが欲しくて銀時の背中に腕を回した。
「やっ……だ、めっ……あっ……あっ……はっ」
新八を追い上げるために動かされる銀時の手だけが唯一追える感覚で、頭の中は真っ白になる。
もうすぐそこに頂点は見えていて、新八を導こうとする銀時は容赦なく追い詰める。
いやだ、いやだ、いやだ。
頭の中で繰り返し、新八は懸命に首を振る。
だってこのままじゃ銀時を汚してしまう。
それに……。
イきたいけどイきたくない。
「離……して……っ、やっ……」
いくら嫌がっても銀時の手は早さと強さを増すばかりで。
「新八、イけ」
耳元で囁かれ、強く抜かれた。
「やっ、んっ……あ、あっ……あぁっ……んっ」
一瞬だけ息を詰めて、新八は絶頂を迎えた。
荒くつく、自分の息だけが耳に聞こえる。
チュッと音がして額に熱。
視線を向けて、自分の視界がぼやけている事に気付いた。
初めて他人の前でしてしまった排出行為に消えない羞恥。
瞬きをしたら目尻から涙が零れ落ちた。
指が拭ってくれる感触。
「お疲れさん」
手を引いて起こされる。
「お前、やばいわ」
髪をクシャリとされたあと。
「見てみ」
衣擦れとファスナーの金属音がして導かれるままに視線をさげる。
引き締まった腹筋を辿った先。
寛げた前立ての間から、銀時の確かな欲望がそそり立っていた。
自分のものとは違うもののように見える。
「新八の所為で銀さんこんなんなんですけど」
自分に向けられる銀時の欲。
身体の芯にはまだ銀時の手で齎された快感の余韻が色濃く残っていて、何かが疼くのを感じる。
触れてみたくて、そっと手を伸ばす。
手に余りそうな質量は溶かされそうなほどに熱くて。
新八は、自分がそうされたように無意識に指先で先端をなぞった。
「っ……」
珍しく銀時がうろたえた様に身体を揺らした。
握っていた腕を掴まれて。
「お客様、お手を触れないで下さい」
おどけた口調で止められた。
問うように見上げればにやりと笑われて。
「俺はお前ン中でイクから。新ちゃんに触られっと銀さんヤバイ」
垂れてくる、さっき自分が放ったものを銀時の掌が掬うように塗り広げる。
「んっ……」
指先が胸を滑って、怖いくらいに感じてしまった。
「次は、一緒にイこうな」
近付いてくる顔に自然と唇が開いて。
触れた後、銀時は舌をたくさん舐めてくれた。
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