新八の目はいつの間にか涙を溜めて、睫毛の先が綺麗に濡れてた。
世界に人は溢れてるのに、俺が欲しいと思うのはこいつだけ。
どうしてかなんて、きっと頭で考える事じゃない。
「新八」
手を抜いて解放してやる。
「は、ぁ……」
光る睫毛をそっと舐めて、つけた唇で新八に強請った。
「俺の、出せる?」
唇の上で睫毛が震える。
「は、い」
開いた瞼がゆっくり瞬いてから俺を見て。
絡めた手を外した新八が軽く身を捩った。
胸元で不自由に身を縮め、伸ばした手が腰に届く。
新八がもそもそと動く度に髪が顎を擽って、俺はそこにも口付けた。
ジッパーを下ろして下着をずらし、ぎこちない指先が俺を外気に晒す。
新八を跨いだ俺は十分すぎるほどに臨戦態勢のそれを軽く擦りつけた。
「握って?」
「は、はい」
張り詰めた俺を新八の柔らかな手の平が包む。
それだけでもう滾るっつーか、堪んねぇもんがあんだけど、必死に堪えた。
だってそうじゃないからね。
それもこの上なく魅力的だけど、そうじゃないからね。
一生懸命な額に口付けて。
「新八のも、一緒にな」
「え?」
「一緒、がいいんだろ?」
新八の手ごと腰を押し付ける。
「あ……あ、はい」
それで意図は通じたのか、両手の平で二人分を寄り添わせるように握り直してくれた。
「えっと、こ、こうですか?」
戸惑いながらも精一杯……って何プレイだ、これ。
頭ン中が真っ白で、今にもとんじまいそうになる。
奥歯をグッと噛み締めて、堪えた理性で腰をそっと引いてみた。
新八は俺で。
俺は新八と、新八の手の平とで擦られる。
「ぁ……」
その刺激に新八が震えた。
「持ってられそ?」
弛んじまった新八の指先に、添えるようにして手を触れた。
「が、頑張ります」
「ん、頑張れ」
撫でた額に唇付けて、俺はゆっくりと動き始めた。
手の平とはいえ新八に包まれてんだから俺のそれ、は垂れ流しもいいとこ。
少しずつ、擦れるたびに動きが滑らかになっていくのが感覚でわかる。
やばいやばいやばい。
だんだんと音が濡れてきて、新八の呼吸も速くなる。
唇を塞ぐのは可哀想で、薄く開いた下側を軽く食んだ。
隙間から覗いた熱い舌が少し触れる。
「せ……んせ」
「ん?」
「僕、これだめ、かも……んっ」
新八の視線が切ない。
「したく、なかった?」
「ちが……」
首を振ると黒髪がパサパサと揺れる。
「せんせ……に抱き、つけな……から、や……ぁ」
熱い息と潤んだ瞳の訴えに……一気に溜まった。
きた。
ヤバイ、コレきた。
「せんせ、ぇ」
泣き出しそうな。
「新八っ……」
力の抜けた指先を、覆うように上から包む。
「ぁ、ぁっ……ぅ……んっ」
がっつくとか、表現するなら多分そんなん。
だってもう臨界点突破しそう。
崖っぷち。
後がない。
いろんな意味でギリギリだ。
「は……ぁ、んっ」
下で悶える新八の脚が内腿に当たる。
「ぼ、く……も、だっ……め」
小刻みな律動に声を震わせて。
「イキそ?」
「う、ん」
「じゃあイク?」
「うん……うっ、ん」
「なら先生頑張っから、も少しだけ我慢してくれ、な?」
「は……ぅ、ん」
新八がゆっくりと息を吐いて手の平で握り直す。
それに全てを委ねて、俺は小さな頭を腕で囲うように覆い被さった。
顎から、頬、目尻、額、と唇を滑らせ顔を寄せる。
ゆっくりと腰を動かし始めると新八が微かに喉を鳴らした。
手の平と新八の熱が伝わる。
そこを通り抜ける度、電流みたいに快感が走った。
ヌルヌルと滑る皮膚と皮膚。
煽られて、動きは一気に加速度を増す。
セックス未満でこんな快感、新八以外なら絶対にない。
「せんせ……っ」
「くっ……」
思わずって感じで指先に篭った力は、逃がせない快感にしがみ付けないもどかしさなのかもしれない。
「あぁっ」
無意識の自分の締め付けで新八が先に果てた。
「しん、ぱち……俺、もうちょっと……」
荒い息を付く口元に触れて。
「ん……は、い」
乞えば脱力しかけた指先にまた力が入る。
それを借りて一気に最後に向かった。
はぁ……すげぇ気持ち、いい。
いいけどやっぱまだ、足りない。
新八ン中に入んねぇと、ホントのホントには終われない。
手の平よりももっと熱い新八の中。
想像したら芯が痺れた。
内から外へ抜けようとする快感が下半身で嵩を増す。
やべぇ、イキそう……つかもうイク。
「新八……っ」
「……ん、せんせ……」
耳を掠める熱い息。
汗ばむ黒髪に指先を埋めて、我慢できずに唇を塞ぐ。
舌先が、濡れた新八のそれに触れたらもう駄目だった。
息を詰めて。
「っ……」
一気に。
ぶちまけた。
「はっ……しんぱち」
荒い息が新八の頬にぶつかる。
涙に濡れて、汗に濡れて、俺に濡れて。
俺の下で、胸から臍の下まで露出した肌は全部に塗れてドロドロで。
その姿はめちゃめちゃ扇情的なのに、不思議と清廉さを失くさない。
ああ、新八だ。
「先生……」
ゆっくりと俺から手を離した新八が胸元で指先を戸惑わせる。
それは俺と新八の二人分に濡れて、何を躊躇ってるのかを教えてくれた。
「おいで」
手首を掴んで首に回させる。
「あの、でも……」
「抱きつけないからヤダって言ったの新八だろ?」
「そうですけど……あっ、垂れちゃう」
抱き寄せたまま身体を傾けると新八が慌てる。
「いいからいいから」
気にせずそのまま半回転して細い身体を上に乗っけた。
密着した二人の間で俺の服がべとりと濡れる。
それを見て。
「……先生めちゃくちゃ」
俺の上で新八は呆れてる。
けどその目も声も、溶ける様に甘くて優しい。
「汚れたら洗えばいいじゃん」
「だからって無駄に汚さなくても……」
「そんなん気にしてたら新八とイチャイチャできねぇよ」
「う……」
背中を撫でてると弛んだジーンズの腰元が指先を誘う。
その先にあるのが新八の丸い尻なら……。
「先生」
「……駄目?」
「駄目です」
だそうです。
残念。
「それより、早く服とか洗わないと……」
出したまんまの下半身は密着してる。
何よりさっきの今っていうこの状況。
なのに新八はこの反応。
こういう新八だから好きなのか、好きだからこういう新八もいいと思うのか。
それは多分鶏と卵。
どっちが先かなんて永遠の謎。
でもって別に解明しなくてもいい謎だ。
「そだな、早く洗わないとエッチな染みが残っちゃうしな」
「そっ、そんなのは知らないですけどっ」
あ、涙目だ。
なんか、いいよなー。
「よしよし、んじゃ今から炬燵布団も持って俺達ごと風呂場で丸洗いすっか」
「浴槽使うんですか?」
「沸かすのも面倒だし、お湯溜めて洗濯がてら交代でシャワー使えばよくね?」
「そっか、そうですね」
「んで、沸かしてる間にベッドでしような」
「……はい」
きゅぅって感じで真っ赤になった新八は、耐え切れないように俺の胸元に顔を伏せた。
流れる黒髪と綺麗に巻いた旋毛。
「なぁ、新八」
指先で遊ぶように撫でながら名前を呼ぶ。
「何ですか?」
「うん、あのさ……」
少し言い淀むと新八が顔を上げた。
俺を見詰めてくれる嘘のない視線が勇気をくれる。
「嫌いになんないでくれたら、すげー嬉しい」
こんな事言うのはめちゃめちゃ恥ずかしいけど、言わずにはいられない。
ヘタレてる自覚はあるからそこは見逃して欲しいんだけど。
俺の弱音を聞いた新八はきょとんとして。
「……なり方がわかりません」
そう言ったあとふにゃりと笑った。
俺は息が詰まりそうで。
離れずにいてくれる温もりを両腕で抱きしめた。
新八が居る事。
ただ一つ、それが俺の倖せの定義。
20100422 UP
終わりました。
はー、皆様の反応を考えるとかなりガクブルです。
どうしてこんな事になっちゃったんだろう、みたいな(笑)
先生が止まんなくなっちゃったんですよ(責任転嫁)だから仕方ないって事で片付けておきます。
新八君はホントにもう……って感じで、書いてて堪らんもんがあります(笑)
この子、どうしたらいいんでしょうかね。
少しでも楽しんでいただけたらいいのですが……いつもの如く書いてる本人はとても楽しかったです(笑)
では。
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