[新ちゃんとハグチューしてください]
なんだこりゃ。
朝、新聞広告に挟まって、こんな紙切れの入った封筒が届いた。
苺ジャムを五ミリくらい塗ったトースト(新八がさ、せめてパン焼くだけでもいいからちゃんと朝食べてくださいって言うんだよね〜、可愛くね?)を齧りながら封を開けると中には一枚の便箋。
紙にはたった一言、上の言葉が書いてあるだけ。
全くもって意味不明、だ。
だいたいハグチューってなんなんだよ。
説明くらい付けとけっての。
何にでも取り説ってのは大事だよ?
マニュアル通りがいいって言ってるわけじゃねーけど、やっぱ何でも基本は押さえとかないとね、って事。
ま、そんな事はどうでもいいか。
考えるべきは”ハグチュー”についてだ。
普通ならこんなわけわかんねーこた放置プレイなんだけど、この”新ちゃんと”ってのが曲者だ。
俺にとって”新ちゃん”つったら「志村新八」君しかいないわけで。
新八と何かしろってんならその”何か”がわかんなくても「やったろーじゃねーの」という心意気なわけで。
ああっ、もうこんな時間じゃねーのよ。
コーヒー牛乳で口の中のパンを流し込んで俺は鞄を手に取った。
今日は新八と約束してっから気分も違うってもんだよ。
とりあえずもう行かねーと。
後は新八と一緒に考えっかね。
「はぐちゅー、ですか?」
「そ、新八知ってる?」
コンクリートの壁に凭れて二人並んだ屋上の昼休み。
デザートの牛乳プリンの蓋をぺりぺりと捲りながら俺は隣に座る新八に聞いてみた。
弁当箱を包むナプキンの端をキュッと縛って自分の脇に置いた新八は膝を抱えて俺を見上げた。
「聞いたことないです。何ですか?それ」
一口プリンを口に入れた流れでスプーンを銜えたままポケットを探って例の紙を出す。
「これ。今朝届いてた」
新八に渡す。
空いた手でスプーンを取って二口目を掬った。
「僕と”ハグチュー”……」
「うん。新八とならなんだってしたいけどよ。とりあえずそれが何なのかわかんねーからどうしましょって」
「聞いたことないです」
折り目に沿って紙をたたんだ新八は俺のポッケにそれを戻した。
「でも、僕あんまり物を知らないから……クラスの生徒さんに聞いたほうが早いんじゃないですか?」
「んー、まぁそれもありだけど、俺としては新ちゃんと二人で力をあわせてだね……」
三口目を掬う。
「紙の文字を見て浮かんだんですけど、外人の人が抱き合ったりするのってハグっていいますよね」
新八のその言葉に俺の脳がきらりと光った。
あ、わかっちゃったかも。
自分の口に入れようとしてた手を止めて、スプーンを新八の口元に運ぶ。
俺を見て、ちょっと可愛く固まっている唇に透明なプラスチックを触れさせ促すとそっと開いてくれた。
ピンクの唇に白い塊が吸い込まれていく。
自分でやっといてなんだけど、それはかなりエロくてヤバかった。
牛乳プリンにしたのは失敗だった。
頑張れ、俺。ここ学校だから。相手、新八だから!
……って、なけなしの理性は叫ぶけど。
でも。
車は急に止まれない。
プリンとスプーン、掴む両手に力が入る。
俺も……急には止まれない。
視線の先で新八の喉がコクリと動いて、それに釣られるように俺の喉もごくりと動いた。
プリンを脇に置く。
「なぁ……」
すぐ隣にある新八の腕を引き寄せる。
「せんせ……?」
戸惑いながらも新八は逆らわない。
「ハグチューの、ハグがそのままハグだとしたら」
身体に腕を回して。
「チューもそのまま”チュー”でいいと思わねぇ?」
ゆっくりと顔を近づける。
そしたら。
新八の顔が不意に近付いて、俺の口端に一瞬触れた。
珍しい不意打ちに俺は驚きを隠せなくて、まじまじと顔を見てしまった。
「こ、こういう感じですか?」
自分のやった事に照れながらも俺の反応を待つその様子は筆舌に尽くしがたい。
頭に兎の耳が見えるんですけど。
ぴるぴるぴるっって震えてるのが見えるんですけどっ。
これって俺の幻覚なんですかっ?ってなるんですけど!
………………はぁ。
心の中で、ゆっくり10数えた。
じっと俺を見詰めて待つ新八の頬に触れる。
「ん、そういうのも有り。すげー有り」
お返しするみたいに唇に触れて。
「でも今は。センセーさっきのプリン、味わいてーな」
息の掛かる距離でそう告げた。
新八の手が俺の白衣をぎゅーーーーっと掴む。
伝わってくるのは物凄い緊張。
身体も小刻みに震えてる。
可哀想だけど可愛くて、俺は一度その身体をしっかりと抱き締めた。
額をつけて、視線を合わせて。
「新八、口あけて……」
ゆっくりと開かれる唇。
長めの前髪を慰めるように梳いて。
俺を温かく包みこんでくれるその場所に、ゆっくりと舌を差し込んだ。
”ハグチュー”が何なのか、なんて結局わかんねーままだけど。
取り説付けねぇどっかの誰かが悪いんだから俺は知ったこっちゃねぇ。
まぁおかげで役得だったんで、感謝は一応しますけど。
こういうのは、俺言われなくても普通にやっから。
新八いたら普通にやっから。
結構大きなお世話なんだけどもね。
俺たち幸せにやってるんで、あんま出歯亀しないでもらえるとありがてーかなって、な。
新八見せたくねーからさ。
そこら辺よろしくな。
これでいいのか悪いのか、わかんねーけども、一応任務完了って事で。
そんじゃお疲れさんでした。
3Zハグチュー:完了
20070118UP
どさくさ紛れに玄子さんのうさぱちをパクリました(汗)憧れだったのです、ごめんなさい。
でも捧ぐ(迷惑)。
屋上猥褻教師です(笑)うそです。猥褻なのは私です。
皆さん、銀新ハグチュー、いいですよね!(ニコニコ)